徳島の古墳研究まとめ

徳島県(阿波国)の古墳に関する主要な学術研究、発掘調査報告書、および主要な論点のまとめ。阿波説(特に大和の出現期古墳への影響)を考察する上で重要な考古学データとなる。

📌 重要な古墳と調査報告

徳島県内の古墳は、前期の「積石塚」から、首長層の強大化を示す「前方後円墳」へと変遷する。

1. 渋野丸山古墳(徳島市)

  • 概要: 全長118mを誇る、四国最大級の前方後円墳(5世紀前半)。阿波の首長墓として極めて重要。
  • 報告書: 『徳島県徳島市渋野丸山古墳発掘調査報告書』(2006年、徳島市教育委員会)

2. 八人塚古墳(徳島市)

  • 概要: 古墳時代前期の大型積石塚。阿讃(徳島・香川)地域の積石塚文化を象徴する遺跡。
  • 報告書: 『徳島市八人塚古墳測量調査報告』(2005年、徳島大学)

3. 丹田古墳(三好郡東みよし町)

  • 概要: 森浩一氏らによって調査された積石塚。
  • 報告書: 『徳島県三好郡三加茂町丹田古墳調査報告』(1971年、同志社大学文学部)

4. 気延山古墳群(徳島市・石井町)

👉 関連遺跡: 積石塚のルーツとも言える 萩原墳墓群

📚 主要な研究テーマと論者

  • 「阿讃積石塚分布圏の提唱」(森浩一)
    • 徳島から香川にかけて広がる「積石塚」を独自の文化圏として捉え、吉野川流域の勢力(阿波忌部など)の独自性と、他地域への影響力を考察する上での基礎理論。
  • 前方後円墳の受容と地域性(大久保徹也・北條芳隆など)
    • 東四国(徳島・香川)における前方後円墳(大和政権のシンボル)の波及プロセスと、「讃岐型前方後円墳」など地域独自の展開についての議論。
  • 前期古墳の動態(一山典)
    • 徳島平野における前期古墳の変遷から、初期ヤマト王権と阿波勢力の関係性を読み解く研究。

🔍 情報検索用データベース

これらの報告書や論文の現物を確認するための学術データベース。


Vault内リンク

5. 大代古墳(鳴門市)

  • 概要: 鳴門海峡を望む全長54mの前方後円墳(4世紀末)。海上交通を掌握した首長墓。高速道路の下に保存されている。

6. 西山谷2号墳(鳴門市)

  • 概要: 四国最古級(3世紀半ば)の円墳。大和に先行する「竪穴式石室」を持ち、技術の伝播(東遷)を示す。

7. 宮谷古墳(徳島市)

  • 概要: 徳島県内最古級(3世紀後半)の前方後円墳。初期ヤマト王権との早期からの結びつきを示す。

8. 段の塚穴(美馬市)

  • 概要: 四国最大級の横穴式石室を持つ円墳(6世紀)。古墳時代後期における美馬地域の巨大勢力。

🏛 気延山周辺の重要遺跡(阿波国府・邪馬台国論争の拠点)

気延山周辺は、弥生時代から古墳時代にかけての阿波の中枢であり、阿波説の最重要エリアである。

9. 気延山古墳群(徳島市・石井町)

  • 概要: 気延山一帯に200基以上の古墳が密集する。県内最古級の前方後円墳である宮谷古墳から、終末期の古墳までが途切れなく続く「阿波の王家の谷」。

10. 矢野遺跡(徳島市)

  • 概要: 弥生時代の西日本最大級の集落跡。国指定重要文化財「矢野銅鐸」が木箱入りで出土し、鉄器生産や朱の精製の痕跡も残る、古代「クニ」の中心地。

11. 八倉比売神社(徳島市)

  • 概要: 気延山南麓の古社。奥の院には青石を積んだ「正五角形の祭壇」があり、地元では「卑弥呼の墓」と伝承されている。