伊勢国の式内社一覧
式内社\10_伊勢国\ 配下の全ノートを郡別に集約した MOC(Map of Content)。
概観
伊勢国は『延喜式神名帳』に 253座(一説に255座)を擁する 日本最大規模 の式内社地帯であり、その中心は 皇大神宮(内宮)・豊受大神宮(外宮) の両宮および別宮・摂社・末社からなる「神宮125社」である。郡の数は 13郡(桑名・員弁・朝明・三重・河曲・鈴鹿・奄芸・安濃・一志・飯高・飯野・多気・度会)。
阿波説における意義は格別である。伊勢神宮は 崇神朝に阿波・名方郡から離された天照大神 が、垂仁朝の 倭姫命の90年の御杖代巡幸 を経て最終的に鎮座した地と解される。すなわち伊勢は「遷座先」であり、その本源は阿波にあるという立場が阿波説の中核命題である(→ 元伊勢笠縫邑の比定論_阿波・名方郡説)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 式内社座数 | 253座(神宮125社を含む。大社・小社の別あり) |
| 主要郡 | 度会郡(内宮所在)・多気郡(外宮元宮・斎宮所在)・鈴鹿郡(椿大神社)他 |
| 大社 | 皇大神宮・豊受大神宮の両宮および別宮、椿大神社、都波岐神社、敢国神社(伊賀)等 |
| 阿波説の位置付け | 「伊勢神宮は阿波からの遷座」 が中核命題 |
| 主要元宮(阿波側) | 天石門別八倉比売神社・上一宮大粟神社・岡上神社・佐古天一神社 |
度会郡(内宮および主要別宮所在地)
- 皇大神宮(内宮)(内宮本宮・天照大神)
- 豊受大神宮(外宮)(※郡境としては度会郡山田原。本稿では別ファイル)
- 伊勢神宮の阿波遷座論(理論ノート)
- 瀧原宮(皇大神宮別宮・「天照大神御魂」の元宮の一つ)
- 伊雑宮(皇大神宮別宮・志摩国答志郡だが運営は度会)
- 二見興玉神社(※式外社・前身社の式内比定論を含む)
皇大神宮 別宮(度会郡内・本宮近接)
- 荒祭宮(あらまつりのみや):天照大神荒御魂
- 月読宮(つきよみのみや):月読命
- 月読荒御魂宮
- 伊佐奈岐宮(いざなぎのみや)
- 伊佐奈弥宮(いざなみのみや)
- 風日祈宮(かざひのみのみや)
豊受大神宮 別宮
- 多賀宮(たかのみや):豊受大神荒御魂
- 土宮(つちのみや):大土御祖神
- 月夜見宮(つきよみのみや)
- 風宮(かぜのみや)
多気郡(瀧原宮・斎宮・外宮元宮論の所在地)
- 瀧原宮(皇大神宮別宮・度会郡境界で多気郡側に編入される時期あり)
- 「斎宮」関連祭祀群(皇女=斎王の潔斎地)
- 多気神社(式内小社)
- 佐那神社(式内大社・天手力男命)※天手力男命:佐那縣の主神と天岩戸の力業 と地名対応
飯野郡
- 大与度神社
- 櫛田神社
- 神山神社
- 漕代神社(こいしろ)
三重郡
- 三重神社
- 加佐登神社(旧河曲郡境)
- 久留倍官衙遺跡周辺の祭祀
桑名郡
- 桑名神社(皇大神宮別宮・桑名宗社の元社)
- 中臣神社(皇大神宮別宮・桑名宗社)
- 多度神社(式内大社・天津彦根命)
鈴鹿郡
- 椿大神社(猿田彦大本宮・式内大社・伊勢国一宮論あり)
- 都波岐神社(つばき/式内大社・名神大)
- 奈加等神社
- 江神社
奄芸郡・河曲郡・安濃郡・一志郡・飯高郡・員弁郡・朝明郡
(個別ノートは後続フェーズで整備予定)
- 多伎神社(一志郡)
- 阿射加神社(一志郡)
- 大野神社(安濃郡)
- 都美恵神社(員弁郡)
- 額田神社(朝明郡)
阿波説における伊勢の核心命題
1. 元伊勢笠縫邑=阿波・名方郡
崇神6年、豊鋤入姫命 が天照大神を託された「倭笠縫邑」を、通説は奈良県磯城郡など畿内に比定する。阿波説では:
- 佐古天一神社(佐那河内村佐古、旧「伊勢郡」)
- 上一宮大粟神社(神山町・大宜都比売命の本貫)
- 天石門別八倉比売神社(徳島市国府町・天照大神真陵説)
を主要候補とする(→ 元伊勢笠縫邑の比定論_阿波・名方郡説)。
2. 倭姫命の御杖代巡幸(90年)
豊鋤入姫命を継いだ倭姫命は、垂仁朝に阿波を出発し、丹波・大和・伊賀・近江・美濃・尾張を経て 伊勢国五十鈴川上流 に鎮座地を定めた、というのが阿波説の見立て。その「出発点」が阿波であった点で、内宮・外宮はいずれも 阿波の祭祀の延長線上 に位置する。
3. 外宮 豊受大神の阿波元宮論
外宮の豊受大神(豊宇賀能咩命)は、丹後 多久神社・籠神社・比沼麻奈為神社を経由して伊勢へ遷座したとされるが、最古層は阿波・海陽町和奈佐 に求められる(→ 豊受大神:丹後多久神社と阿波の元宮論・羽衣伝説の阿波比定論:和奈佐(海陽町)と寺山古墳群)。北阿波の元宮としては 岡上神社(板野郡)が中心。
4. 麁服・荒妙と阿波忌部
天皇即位儀礼の 大嘗祭 に用いられる 麁服(あらたえ) は、現在も阿波忌部の末裔(三木家)が貢進する。伊勢神宮の祭祀構造は、阿波忌部が天皇即位儀礼を伊勢創建以前から担当していたという系譜の延長として理解される(→ 阿波忌部氏伝承詳細)。
5. 猿田彦と佐田の岬
椿大神社の主祭神 猿田彦大神 は、阿波の 佐田岬・佐田神社 系譜と接続する伝承を持つ。猿田彦の本貫を阿波に求める議論は、伊勢国鈴鹿郡の椿大神社が「猿田彦総本宮」を称することと、阿波の祭祀地理を結ぶ重要論点である(→ 椿大神社)。
関連ノート(阿波側元宮・理論軸)
- 元宮ハブ_MOC
- 元伊勢笠縫邑の比定論_阿波・名方郡説
- 天石門別八倉比売神社(天照大神真陵)
- 上一宮大粟神社(大宜都比売命本貫)
- 岡上神社(豊受姫命=ウカノミタマの北阿波拠点)
- 豊受大神:丹後多久神社と阿波の元宮論
- 羽衣伝説の阿波比定論:和奈佐(海陽町)と寺山古墳群
- 阿波忌部氏伝承詳細
- 天照大神(大日孁尊)
- 大宜都比売命と天照大神:阿波における重層的な女神崇拝の構造
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