阿須伎神社(あずきじんじゃ)

要旨

阿須伎神社(島根県出雲市大社町遙堪) は、阿遲須伎高日子根命(=味耜高彦根命)を祀る出雲大社の境外摂社。『出雲国風土記』に「阿受伎社」とあり、同名社が 39社 記されるが、本社以外の38社は当社に合祀されたと伝わる。これは 出雲における味耜高彦根(阿遅須伎高日子根)祭祀の異常な集中 を示し、本神が出雲で極めて篤く祀られた神格であることの証左。祭神は大国主大神と多紀理比売命(宗像三女神)の御子神で、父神とともに「切れ味のよい鋤(すき)」をとって国土を創世したと伝える。阿波説では、本社を 味耜高彦根命(鴨氏祖神)の出雲における原郷的祭祀拠点 とし、阿波の鴨族祭祀(丹田古墳(加茂山):阿遅鋤高日子根神の神陵と巨石文化)・大和高鴨神社と結ぶ鴨族ネットワークの出雲側の核として位置づける。


1. 命題の構造

観点通説阿波説
祭神阿遅須伎高日子根命(大国主の御子、出雲の在地神)味耜高彦根命=鴨氏祖神。出雲・阿波・大和を結ぶ鴨族祭祀
39社合祀出雲郡内の阿受伎社群の統合出雲における味耜高彦根祭祀の異常な集中=原郷性
大国主との関係父子神(出雲系譜)阿波の出雲・鴨族祭祀の延長

2. 基本情報

項目内容
社名阿須伎神社(阿式社)
所在地島根県出雲市大社町遙堪1473
創建不詳(『出雲国風土記』所載の古社)
主祭神阿遲須伎高日子根命(=味耜高彦根命)
延喜式表記出雲国 出雲郡 阿受伎社
社格小/出雲大社境外摂社
位置出雲大社から東へ約3.6km

3. 祭神と社伝

主祭神 阿遲須伎高日子根命=味耜高彦根命(迦毛大御神)。大国主大神と多紀理比売命(宗像三女神の長女)の御子神で、『古事記』の系譜と一致する。父神・大国主とともに「切れ味のよい鋤(すき)」をとって国土を創世したと伝え、開墾・農耕の神格を持つ。

『出雲国風土記』の阿受伎社39社

『出雲国風土記』出雲郡条には「阿受伎社」が同名で 39社 記される。本社以外の38社は後に当社に合祀されたとされ、これは 出雲郡内における味耜高彦根(阿遅須伎高日子根)祭祀の突出した集中 を示す。


4. 歴史

  • 古代:『出雲国風土記』に「阿受伎社」39社、『延喜式神名帳』に出雲国出雲郡「阿受伎社」
  • 中世以降:出雲大社の境外摂社として、阿受伎社群を合祀
  • 現在:大社町遙堪に鎮座、出雲大社摂社

5. 阿波説における意義

5-1. 味耜高彦根の出雲原郷

『出雲国風土記』の阿受伎社39社という集中は、味耜高彦根命が出雲で篤く祀られた原郷的神格であることを示す。阿波説では、出雲(大国主命(大己貴神)系祭祀)と阿波の鴨族祭祀(丹田古墳(加茂山):阿遅鋤高日子根神の神陵と巨石文化)を結ぶ結節点とみる。

5-2. 鴨族ネットワークの出雲側の核

味耜高彦根命(鴨氏祖神)を祀る全国社(大和・高鴨/伊豆・加毛/下野・日光二荒山/陸奥・都々古別)の中で、本社は 出雲側の核。鴨族の広域祭祀ネットワークの起点の一つ。

5-3. 鋤(すき)の農耕神

「切れ味のよい鋤をとって国土を創世」という伝承は、味耜高彦根命の 開墾・農耕神格 を示す。阿波忌部の麻穀栽培・農耕祭祀との構造的親和。


6. 関連神社・関連神格

味耜高彦根命の奉斎社

関連神格

阿波の本源

出雲の忌部・玉作

  • 玉作湯神社 — 松江市玉造、出雲玉作忌部祖 櫛明玉命を祀る(出雲の阿波接続群)

7. 現地情報

  • 住所:島根県出雲市大社町遙堪1473
  • 位置:出雲大社から東へ約3.6km、出雲大社境外摂社
  • 古代祭場:背後の山を遥拝する古代祭祀の形態を残すとされる

8. 参照ブログ・Web資料

Web資料

  • 出雲国風土記「出雲郡 阿受伎社」
  • Shrine-heritager / 玄松子「阿須伎神社」
  • 出雲観光ガイド「阿須伎神社」

9. 史料

  • 『出雲国風土記』(出雲郡 阿受伎社 39社)
  • 『延喜式』神名帳(出雲国出雲郡 阿受伎社)
  • 『古事記』(大国主+多紀理毘売→阿遅鉏高日子根の系譜)

10. 関連ノート(Vault内)


11. 留保(中立的併記)

注意

  • 祭神(阿遅須伎高日子根命=大国主の御子)は『出雲国風土記』『古事記』に基づく一次史料。
  • 「39社合祀」は風土記の社数記載と後世の合祀伝承に基づくが、合祀の実態・年代には不確実性がある。
  • 阿波接続(出雲・阿波の鴨族祭祀の結節)は阿波説的解釈で、一次史料が阿波起源を明記しない。「鴨族ネットワークの出雲側の核」は仮説。
  • 本ノートの evidence_type は “primary_source_based”(祭神・風土記)/阿波接続は仮説、confidence は 3。

※本稿は味耜高彦根命(鴨氏祖神)の出雲における原郷的祭祀拠点として、阿波・大和・東国の鴨族ネットワークの出雲側の核として位置付けられる。同神を祀る出雲の社に都我利神社。