葛木咩神社

📚 土佐 葛木咩神社 — 葛城系の女神を祀る土佐郡の式内社。同郡の葛木男神社(男神)と対をなす夫妻神祭祀で、阿波説では阿波の葛城本貫地(神山町・佐那河内村)からの土佐分派と読み解かれる。

基本情報

  • 延喜式記載: 土佐国 土佐郡 葛木咩神社
  • 読み: カツラキヒメノ
  • 社格: 小
  • 比定社・論社: 合祀:葛木男神社
  • 所在地: 高知市布師田
  • 郵便番号: 781-5101

祭神と社伝

  • 主祭神は 葛木咩神(かつらきひめのかみ)。下照姫命(高鴨味鋤高彦根命の妹)に比定する伝もある。
  • 同郡の葛木男神社の男神と対をなす女神祭祀で、夫妻神または兄妹神とされる。
  • 現在は葛木男神社に合祀されている。

歴史

  • 延喜式神名帳(927年)に「土佐国 土佐郡 葛木咩神社」として記載。
  • 中世以降、葛木男神社との合祀が進み、独立した社殿は失われた。
  • 布師田(ぬのしだ)の地に祭祀痕跡が残る。

阿波説における意義

葛城氏は阿波説では阿波国名方郡の葛城(神山町・佐那河内村方面)を本貫とする一族とされる。土佐郡に「葛木男・葛木咩」の男女ペア祭祀が存在することは、阿波の葛城本貫地での祭祀構造(夫妻神信仰)が土佐に分派した物証とみなされる。阿波一宮の八倉比賣神社(女神)と土佐一宮の都佐坐神社(味鋤高彦根命)が夫妻神であるとする粟飯原家伝(awa_otoko_02_氏族_粟国造_大宜都比売#2017-08-08-土佐国一宮ト阿波國一宮ハ夫妻之御神ナル可シ。)とも整合し、土佐郡全体が「阿波の女神 × 土佐の男神」という夫妻神論の地理的展開として読み解かれる。本社は、この夫妻神祭祀構造の縮図として、土佐郡内に祀られた女神祭祀の核心である。

関連神社・関連氏族

現地情報

  • アクセス:高知市布師田。JR土讃線土佐一宮駅から徒歩・タクシー。葛木男神社に合祀。
  • 主要祭事:例祭 秋季(葛木男神社と合同)。
  • 国分川流域の段丘上に鎮座。

留保

  • 下照姫命の祭神比定は近世以降の整備の可能性があり、古層の祭神は不明。
  • 葛木男神社との合祀の経緯・時期は確定していない。

関連論考

関連リンク

dataview: 葛城系式内社

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1. 命題の構造

観点通説阿波説
主祭神葛木咩神(下照姫命に比定する伝あり)同左。葛城系女神を、阿波の葛城本貫地からの土佐分派と読む
社名「葛木咩」葛城系の女神(咩=女神)阿波名方郡の葛城(神山町・佐那河内村)を本貫とする葛城氏の女神祭祀
対構造同郡の葛木男神社(男神)と対をなす夫妻神/兄妹神阿波の夫妻神祭祀構造が土佐に分派した縮図
現状葛木男神社に合祀、独立社殿は失われた同(史実)
社格土佐国土佐郡の式内小社同(一次史料に依拠)

2. 基本情報(拡張)

項目内容
正式社名葛木咩神社(かつらきひめじんじゃ)
所在地高知県高知市布師田
延喜式表記葛木咩神社(かつらきひめのかみのやしろ)
式内社格小(土佐国土佐郡)
主祭神葛木咩神/下照姫命(伝)
比定社葛木男神社に合祀
位置付け葛城系女神祭祀社(男神と対)

3. 祭神と社伝(拡張)

3-1. 葛木咩神(かつらきひめのかみ)

  • 葛城系の女神で、「咩(め)」は女神を表す。同郡の葛木男神社の男神と対をなす。
  • 下照姫命(高鴨味鋤高彦根命の妹)に比定する伝があるが、近世以降の整備の可能性があり、古層の祭神は未詳。
  • 男神・女神(葛木男・葛木咩)の対祭祀は、葛城系氏族の祖神信仰における夫妻神・兄妹神構造を示す。

3-2. 葛木男神社への合祀

  • 中世以降、葛木男神社との合祀が進み、独立した社殿は失われた。
  • 布師田(ぬのしだ)の地に祭祀痕跡が残る。

4. 歴史(拡張)

時代出来事
上古布師田の葛城系女神祭祀(創祀年代不詳)
平安初期『延喜式』神名帳に「土佐国 土佐郡 葛木咩神社(小)」として登載
中世以降葛木男神社との合祀が進み、独立社殿が失われる
近世下照姫命の祭神比定が整備される

5. 「葛木男・葛木咩」の対祭祀構造

  • 土佐郡には「葛木男神社」「葛木咩神社」という男女ペアの式内社が並存し、葛城系の夫妻神(または兄妹神)祭祀を構成する。
  • 下照姫命は味鋤高彦根命(都佐坐神社主祭神)の妹で、両神とも葛城・賀茂系。土佐郡の葛城系祭祀の中で、女神祭祀の核を担う。
  • 男女ペア祭祀は、氏族の祖神信仰における対偶神構造の典型で、葛城本貫地の祭祀構造を反映する。

6. 阿波説における意義(拡張)

6-1. 阿波の葛城本貫地からの分派

  • 葛城氏は阿波説では阿波国名方郡の葛城(神山町・佐那河内村方面)を本貫とする一族とされる。
  • 土佐郡に「葛木男・葛木咩」の男女ペア祭祀が存在することは、阿波の葛城本貫地での祭祀構造(夫妻神信仰)が土佐に分派した物証とみなされる。

6-2. 阿波女神 × 土佐男神の夫妻神論

  • 阿波一宮の天石門別八倉比売神社(女神)と土佐一宮の都佐坐神社(味鋤高彦根命)が夫妻神であるとする粟飯原家伝とも整合し、土佐郡全体が「阿波の女神 × 土佐の男神」という夫妻神論の地理的展開として読み解かれる。
  • 本社は、この夫妻神祭祀構造の縮図として、土佐郡内に祀られた女神祭祀の核心と位置付けられる。

7. 関連神社・関連氏族

葛城系の関連社

関連氏族


8. 現地情報

  • アクセス:高知県高知市布師田。JR土讃線土佐一宮駅から徒歩・タクシー。葛木男神社に合祀。
  • 主要祭事:例祭 秋季(葛木男神社と合同)。
  • 立地:国分川流域の段丘上に鎮座。

10. 史料

一次史料

  • 『古事記』『日本書紀』(下照姫命・味鋤高彦根命の系譜)
  • 『延喜式』神名帳(927年)— 「土佐国 土佐郡 葛木咩神社(小)」

神社縁起・社伝

  • 葛木男神社・葛木咩神社社伝(夫妻神祭祀・合祀)

11. 関連ノート(Vault内)

葛城・夫妻神論

阿波説総合

関連式内社


12. 留保(中立的併記)

注意(通説/阿波説の境界線)

  • 祭神比定:下照姫命の比定は近世以降の整備の可能性があり、古層の祭神は「葛木咩神」とのみ伝わる。

  • 合祀の経緯:葛木男神社との合祀の経緯・時期は確定していない。独立社殿が失われたため本来の鎮座地も確証を欠く。

  • 阿波葛城本貫説:葛城氏を阿波名方郡本貫とする説は阿波説固有の解釈で、通説(大和葛城本貫)とは異なる。土佐郡の対祭祀をそこからの分派とする読みも阿波説固有である。

  • 夫妻神論:阿波一宮(女神)と土佐一宮(男神)を夫妻神とする説は粟飯原家伝に基づく阿波説内部の解釈で、一次史料による裏付けはない。

  • 本ノートのevidence_type / confidence:frontmatter は evidence_type = “延喜式・葛城系” / confidence = 中。基礎情報(延喜式登載・男女対祭祀・合祀の事実)は高信頼。阿波葛城本貫・夫妻神論は blog_hypothesis 相当の解釈であり、通説とは区別される。