建布都神社(タケフツノ)

要旨

阿波郡市場町香美の式内社・建布都(たけふつ)神社は、国譲り神話と神武東征神話の双方で霊剣を振るう武神・建布都神(=建御雷神/フツノミタマ)を祀る。延喜式神名帳における「建布都神」の独立社は全国で阿波国に唯一座あるのみであり、阿波説の武神論の中核を担う社である。祭神は建布都神(タケフツノカミ=建御雷神/タケミカヅチ)、配祀は経津主命・大山祇命・事代主命。


1. 命題の構造

観点通説阿波説
建御雷神・経津主命の本拠鹿島神宮(常陸)・香取神宮(下総)が中心両神の本来の鎮座地を阿波と読み、建布都神社の全国唯一の独立座祀をその物証とする
国譲り神話の現場出雲を舞台とする阿波・出雲・大和の三点で読み解く議論に接続する
神功皇后の神託伝承記紀本文に明示的な記載はなし社伝として、三韓征伐に際し建布都神が神託を授けたと伝える

2. 基本情報

項目内容
社名建布都神社
所在地徳島県阿波市市場町香美郷社本18
創建不詳
主祭神建布都神(タケフツノカミ=建御雷神/タケミカヅチ)
配祀経津主命・大山祇命・事代主命
延喜式表記阿波国阿波郡 建布都神社(小社・一座)
社格小
位置付け延喜式神名帳における「建布都神」の独立社は全国で阿波国に唯一座
論社建布都神社(市場町香美)/建布都神社(土成町)/赤田神社/伊笠神社/(合祀)八幡神社

3. 祭神と社伝

建布都神は、記紀神話の「国譲り」段で出雲に派遣され、大国主・事代主・建御名方を服従させた武神である。神武東征段では高倉下を通じて霊剣「フツノミタマ」を神武に下し、東征を勝利に導いた。

通説では建御雷神は鹿島神宮(常陸)、経津主命は香取神宮(下総)が中心とされるが、阿波説では、両神の本来の鎮座地を阿波と読む。建布都神社の独立座祀(全国唯一)はその物証である。

本社の伝承には、神功皇后の三韓征伐に際して建布都神が神託を授けたとするものがあり、阿波の武神祭祀が王権の対外戦争にも関与した姿を示す。


4. 歴史

論社:建布都神社(市場町香美)/建布都神社(土成町)/赤田神社/伊笠神社/(合祀)八幡神社。


6. 阿波説における意義

6-1. 「フツノミタマ」の阿波起源

神武東征における霊剣下賜の神話的現場を阿波に置く読み。神武東征の出発点が阿波であるとする阿波説の枠組と整合する。

6-2. 国譲り神話の阿波現場説

建御雷神=建布都神が阿波で祀られる事実は、国譲り神話の現場を阿波・出雲・大和の三点で読み解く議論に接続する。

6-3. 物部氏の阿波展開

建布都神は物部氏の祭神・饒速日命の系譜に連なる武神であり、本社は伊加加志神社(崇神母系・物部氏)・御所神社(大綜杵命)と並んで、物部氏の阿波展開を示す祭祀点となる。

6-4. 神功皇后伝承

本社の伝承には、神功皇后の三韓征伐に際して建布都神が神託を授けたとするものがあり、阿波の武神祭祀が王権の対外戦争にも関与した姿を示す。


7. 関連神社・関連氏族

🏛 建布都神社:詳細論考ポータル

以下の各論点は、独立した専門ノートとして詳細化されている。


9. 参照ブログ・Web資料

外部参考

awa-otoko-blog 関連考察

  • awa_otoko_05_神社巡り#2015-01-13-高天原の武神_建御雷神(建布都神)(出典) — 建布都神社(阿波市市場町香美)の祭神=建御雷神(タケミカヅチ)・経津主命・大山祇命・事代主命。国譲り神話で大国主・事代主・建御名方を服従させた神。全国で阿波国に唯一座祀られる稀少性を指摘。神武東征段で霊剣を下した役割と接続。

goutara-blog(ぐーたら気延日記)関連考察

  • goutara_01_神社#2012-06-24-阿波市市場町 建布都神社(出典) — ぐーたら氏による建布都神社現地調査記。awa-otoko-blog の2015年記事より3年早い先行調査。

参照資料(ブログ・Web自動)

  • 2012-06-24-阿波市市場町 建布都神社
  • 2023-11-22_【阿波の神社を行く!】神功皇后に神託を授けたのは阿波の建布都神だ!「阿波国 阿波郡 建布都神社」

11. 関連ノート(Vault内)


12. 留保(中立的併記)

注意

  • 「建布都神=建御雷神」の同神化は社伝・神社明細帳に基づくが、記紀本文では建御雷神と経津主命(フツヌシ)は別神として描かれる場合もあり、フツノミタマ(剣神)と建御雷神の関係は古来議論がある。
  • 鹿島・香取が建御雷・経津主の本拠とする通説に対し、阿波説は本社を「本来の鎮座地」と読む。両説の優先関係は一次史料のみで決着しない解釈問題である。
  • 神功皇后への神託伝承は神社伝承であり、記紀本文に明示的な記載はない。