万幡豊秋津師比売命

要旨

万幡豊秋津師比売命(ヨロズハタトヨアキツシヒメ/栲幡千千姫命)は高御産巣日神の娘で天忍穂耳命の后神、子に天火明命と瓊瓊杵尊を生む天孫の母神。名の「万幡」「栲幡」は機織りを表し、織物・神衣奉織を司る神格とされる。阿波説では、この機織り神格を阿波忌部の織物・麻殖祭祀と結び、夫・子とあわせ天孫系譜が阿波の生産・祭祀基盤に接続する論点を補強するものと読む。

1. 概要

  • 読み: ヨロズハタトヨアキツシヒメノミコト
  • 別表記: 栲幡千千姫命(タクハタチヂヒメ)/萬幡豊秋津師比売命
  • 続柄: 高御産巣日神(高皇産霊尊)の娘。天忍穂耳命の后神。
  • 登場文献: 『古事記』/『日本書紀』
  • 後裔: 子に天火明命と瓊瓊杵尊。すなわち天孫の母神。

2. 系譜上の位置づけ

  • 高木神(高御産巣日神)の娘として、天照系(天忍穂耳)と高皇産霊系を結ぶ婚姻の要に立つ。
  • 名の「万幡(よろずはた)」「栲幡」は機織りを表し、織物・神衣奉織を司る神格とされる。豊秋津師は豊穣・実りを示す。
  • この婚姻により生まれた瓊瓊杵尊が天孫降臨の主役となるため、皇統の母系起点に位置する。

3. 阿波説における位置づけ

  • 阿波説では、機織り・神衣奉織の神格として、阿波忌部の織物・麻殖(あさうえ)祭祀との親和性が指摘される(麻・木綿・幣帛の生産が阿波忌部の職能の核)。
  • 夫天忍穂耳命(八万町 一王子祠)・子 天火明命とあわせ、天孫系譜が阿波の生産・祭祀基盤に接続する論点を補強する。

4. 関連神格・ノート

5. 留保(中立的併記)

注意

  • 続柄・後裔は記紀による。栲幡千千姫命との異名同一視は通説でも一般的だが、細部は伝により異同がある。
  • 阿波忌部の織物祭祀との結びつきは阿波説的解釈であり、本神を直接祀る阿波の式内社が確認されているわけではない。
  • evidence_type: primary_source_based / fringe_hypothesis(阿波部分)/ confidence: 2