杉桙別命神社(すぎほこわけのみことじんじゃ)
要旨
伊豆半島東岸の河津町田中に鎮座する式内社で、式内社名をそのまま継ぐ古社。地元では「来宮(きのみや)神社」として知られ、樹齢千年余とされる大クス(国の天然記念物)が境内にそびえる。鳥肉・酒を絶つ「鳥精進・酒精進」の特殊神事でも著名である。主祭神は社名どおり杉桙別命とされる。阿波説では伊豆半島東岸を、伊豆諸島と本土を結ぶ黒潮ネットワーク上の祭祀圏とみなす(阿波直結は仮説)。
1. 命題の構造
| 観点 | 通説 | 阿波説 |
|---|---|---|
| 祭神「杉桙別命」 | 河津・来宮の在地神。樹木・大クスに宿る神 | 黒潮ネットワーク上の祭祀群の一座(仮説) |
| 河津(田中)の位置づけ | 伊豆半島東岸の地 | 伊豆諸島と本土を結ぶ黒潮ネットワークの本土側拠点 |
2. 基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | 杉桙別命神社(すぎほこわけのみことじんじゃ) |
| 通称 | 来宮神社(きのみやじんじゃ) |
| 比定社・論社 | 杉桙別命神社 |
| 所在地 | 静岡県賀茂郡河津町田中 |
| 延喜式表記 | 伊豆國賀茂郡 杉桙別命神社 |
| 読み | スキホコ |
| 社格 | 式内社(小) |
| 主祭神 | 杉桙別命(社名による) |
| 特記 | 境内の大クス(国指定天然記念物)/鳥精進・酒精進の特殊神事 |
3. 祭神と社伝
『延喜式』神名帳(927年)に「伊豆国 賀茂郡 杉桙別命神社」として登載された式内小社で、伊豆半島東岸の河津町田中に鎮座する。比定社は式内社名をそのまま継ぐ杉桙別命神社で、地元では「来宮(きのみや)神社」と通称される。主祭神は社名どおり杉桙別命とされる。
境内には樹齢千年を超えるとされる大クス(楠)がそびえ、国の天然記念物に指定されている。また、一定期間にわたり鳥肉と酒を断つ「鳥精進・酒精進」と呼ばれる特殊神事が伝わり、当社を特徴づける民俗として知られる。ただし「杉桙別命」の神格・系譜の詳細は本ノートでは確認できておらず、神名は社名の字義に基づくものとして扱う(→ 留保)。
4. 阿波説における意義
本節は仮説の提示であり、論拠は親ノートに委ねる
以下は阿波説側の解釈であり、学術的に確証された因果ではない。論拠の本体は 阿波説の根幹 が担う。
伊豆国は『延喜式』神名帳に92座という他国に類を見ない式内社の集中をみせる。阿波説はこれを、阿波国から神津島(阿波命神社・物忌奈命神社)・伊豆大島(波布比売命神社)を経て安房国(安房神社)へ至る黒潮ネットワークの祭祀痕跡と解する。伊豆半島東岸の河津は伊豆諸島と本土を結ぶ海路上に位置し、当社もこの祭祀景観の一翼に位置づけられる可能性がある(あくまで仮説)。なお、大クスを神体とする樹木信仰や「来宮(木の宮)」の名は、海上から目印となる巨樹・鎮守の杜を要した海人の信仰とも親和的だが、これは一般的解釈の域を出ない。
5. 関連神社・関連氏族
伊豆諸島・本土の阿波系祭祀
- 伊古奈比咩命神社(伊豆半島・白浜:三島神の后を祀る本土側拠点)
- 阿波命神社(神津島:社名に「阿波」を冠する名神大社)
- 物忌奈命神社(神津島:阿波命の御子神)
- 波布比売命神社(伊豆大島:黒潮ネットワークのハブ)
関連神格・氏族
- 事代主命(三島大明神)
- 阿波海人族
- 阿波忌部
6. 史料
一次史料
- 『延喜式』神名帳(伊豆國賀茂郡 杉桙別命神社)
7. 関連ノート(Vault内)
8. 留保(中立的併記)
重要な留保
- 主祭神「杉桙別命」の神格・系譜の詳細は本ノートでは未確認で、神名は社名の字義に基づく。
- 大クス(国天然記念物)・鳥精進・酒精進の神事は当社の確かな特徴だが、その起源・由来説話の詳細は今後の現地資料による補足を要する。
- 「阿波系海人族の黒潮ネットワークの一座」という位置付けは阿波説固有の解釈=仮説であり、学術的確証はない。論拠は親ノートに委ねる。
※本稿は伊豆国式内社の一つとして、阿波系海人族の黒潮東遷ルートにおける祭祀痕跡という観点から位置付けられる。阿波説全体像は 阿波説の根幹 を参照。
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