稲荷神社(いなりじんじゃ)

要旨

徳島県阿波市市場町日開谷稲荷438に鎮座する稲荷神社。阿波説(阿波国高天原説/ヤマト王権発祥地説)では、京都の伏見稲荷大社の元宮とする。当地の現地比定(市場町日開谷の稲荷神社)はYouTube概要欄のみと薄いが、別系統として goutara-blog が『神社啓蒙』『御鎮座伝記』を引き、伏見稲荷三座=阿波の大宜都比売命ほか二神とする文献ベースの元宮論を展開している。後者を踏まえ本ノートは evidence_type を blog_hypothesis とする(現地比定の確度自体は低く confidence: 1)。


1. 基本情報

項目内容
社名稲荷神社
所在地徳島県阿波市市場町日開谷稲荷438(北緯34.1171・東経134.2723)
創建不詳
主祭神稲荷神(推定)
位置付け阿波説:伏見稲荷大社(京都市伏見区)の元宮

2. 阿波説における位置づけ

2-1. 現地比定(市場町日開谷の稲荷神社)

  • まことの道は当社を伏見稲荷大社の元宮とするが、概要欄は祭神を「稲荷神と推定」、元宮説を「いわれる模様」と伝聞調で、具体的論拠は示していない(最も薄い系統)。

2-2. 文献ベースの元宮論 — 伏見三座=阿波の三神(goutara-blog)

goutara-blog「予告編 伏見稲荷の元社は?」は、伏見稲荷大社が『延喜式神名帳』に「山城国紀伊郡 稲荷神社三座 並名神大」と記される点に着目し、白井宗因『神社啓蒙』(寛文7年・1667)の記載を引いて三座を次のように比定する:

座『神社啓蒙』の祭神阿波比定(goutara説)
中社倉稲魂(うかのみたま)大宜都比売神
下社大山祇女・木花開耶姫葦稲葉神(阿波国神宅村)
上社土祖神埴尓女屋神(阿波国神領并一宮村)
  • 論拠の核心:伊勢神道五部書『御鎮座伝記』の「調御倉神(つきのみくらのかみ)」条に「亦號大宜都比売神(また大宜都比売神と号す)」とあり、稲荷神(倉稲魂)が伊勢で早くから御倉神=大宜都比売として祀られていたとする。
  • 結論:「稲荷大明神ノ三座ハ阿波國魂及二子ノ神ニシテ阿波國根元ノ神ナリ」。すなわち伏見稲荷の祭神は阿波の食物神・大宜都比売とその二御子神に由来するとみる。
  • なお伏見稲荷の創祀は秦氏(和銅年間708-715)に帰せられ、秦氏は阿波忌部と共生した渡来系技術集団でもある(阿波秦氏:忌部氏と共生した渡来系技術集団と養蚕の伝播)。

3. 関連神社・関連ノート


4. 留保(中立的併記)

注意

  • **現地比定(市場町日開谷の稲荷神社=元宮)**の典拠はYouTube概要欄(まことの道)のみで、祭神も「推定」と弱い。
  • **文献ベースの三座比定(goutara-blog)**は『神社啓蒙』『御鎮座伝記』を引くが、これらは近世の編纂・神道説であり、伏見三座を阿波の大宜都比売・葦稲葉・埴尓女屋に同定するのはブログ著者の解釈。一次的確証ではない。
  • 「現地の稲荷神社」と「文献上の伏見三座=阿波三神」は別系統の論であり、両者が同じ社を指すとは限らない点に注意。
  • 三座の祭神が文献により異なる点に注意:現代の伏見稲荷大社の公式三座は宇迦之御魂大神(下社)・佐田彦大神(中社)・大宮能売大神(上社)(+田中大神・四大神)。これに対しgoutaraが引く『神社啓蒙』(1667)の三座は倉稲魂・大山祇女木花開耶姫・土祖神で、両者は一致しない。後者は近世神道説の一系統であり、阿波三神比定はこの非主流の文献系統に依拠している。
  • 通説では伏見稲荷の創建は和銅4年(711)、秦伊侶具(秦伊呂具)が稲荷山三峰に三神を祀ったのが起源(名神大社、全国約3万社の総本社)。阿波元宮説は通説と異なる。
  • evidence_type: blog_hypothesis / confidence: 1

参照資料

  • 【元伏見稲荷大社?】稲荷神社(徳島県阿波市市場町日開谷稲荷438)(まことの道, 2022-12-30:現地比定)
  • goutara_03_氏族_粟国造#2014-07-19-予告編「伏見稲荷の元社は?」(goutara-blog:『神社啓蒙』『御鎮座伝記』による三座=阿波三神説)