天日桂神社(あまひかつらじんじゃ)

要旨

天日桂神社(あまひかつらじんじゃ) は、徳島県吉野川市鴨島町、向麻山(こうのやま)の麓 に鎮座する小さな祠。祭神は阿波忌部の祖神 天日鷲命 と 黒高大明神(くろたか大明神)。近世地誌「麻植郡麻植塚村舊跡傳」が伝える 天日鷲命の御陵(麻植塚) を斎く社とされ、阿波忌部の本貫・麻植(旧麻殖郡)に祖神祭祀を残す。社の規模は小さく社伝も乏しいが、近年(平成29年〔2017〕)に例大祭が復活し、御造営祭も営まれるなど祭祀が継続している。御陵伝承・遥拝の構造の詳細は専門ノート 天日鷲命の御陵遥拝所 に委ね、本ノートは社の基本情報を扱う。


1. 基本情報

項目内容
社名天日桂神社(あまひかつらじんじゃ)
所在地徳島県吉野川市鴨島町(向麻山の麓)
創建不詳
主祭神天日鷲命(あめのひわしのみこと)
配祀黒高大明神(くろたか大明神)
社格小祠(式内・式外の社格は伝わらない)
位置付け阿波忌部の祖神・天日鷲命を祀る麻植(旧麻殖郡)の小社。天日鷲命の御陵(麻植塚)を斎く社とされる

2. 祭神

  • 天日鷲命:阿波忌部の祖神。阿波・忌部神社(吉野川市山川町)の主祭神でもあり、麻・穀の生産と織物の祖神とされる(天日鷲命:天岩戸の功績と「鷲」の由来)。
  • 黒高大明神(くろたかだいみょうじん):当社のもう一柱。地元では当社(祠)を「くろたかさん」と呼ぶと伝わる(goutara「天日桂神社」2017)。

3. 鎮座地・向麻山

  • 当社の鎮座する 向麻山(こうのやま) は、古く「神(カウ)ノ山」と呼ばれ、明治期の五万分一地形図には「鴻山(こうのやま)」と表記される(古伝に「俗に鴻山と書く」とある。goutara「天日桂神社(下)」2017-06-12)。
  • 明治期の地形図で向麻山に記されるのは龍眼神社・國中神社の二社で、天日桂神社はそこに小祠として加わる(goutara「天日桂神社(下)」2017-06-12)。
  • 向麻山一帯は近世地誌が伝える 天日鷲命の御陵(麻植塚) に関わる地で、当社はその御陵を斎く社とされる。御陵伝承と遥拝の構造の詳細は 天日鷲命の御陵遥拝所 を参照。

4. 祭事

  • 例大祭:平成29年(2017)に復活して営まれた(goutara「天日桂神社例大祭復活」2017-09-12)。
  • 御造営祭:平成29年(2017)8月6日に営まれた記録がある(goutara「天日桂神社_御造営祭」2017-08-06)。

→ 小規模な社ながら、近年に祭祀の整備・復興が進められている。


5. 阿波説における意義

  • 阿波忌部の本貫である 麻植(旧麻殖郡) に、祖神・天日鷲命を祀る社が現存することは、忌部神社(麻植郡)と並ぶ麻植の忌部祭祀の一拠点として位置づけられる。
  • 当社が斎くとされる天日鷲命の御陵(麻植塚)は、降臨地(種穂山)と対をなす祖神祭祀の景観をなす。降臨と神陵の総合は 忌部祖神:天日鷲命の降臨と神陵 が扱う。

6. 関連ノート(Vault内)


7. 参照資料・関連ブログ

  • 天日桂神社(上)(goutara 2017-06-05)
  • 天日桂神社(下)(goutara 2017-06-12)
  • 天日桂神社_御造営祭(goutara 2017-08-06)
  • 天日桂神社例大祭復活(goutara 2017-09-12)
  • 天日鷲命とその系譜(awanonoraneko 2009-05-07)

8. 留保(中立的併記)

注意

  • 当社は小祠で社伝も乏しく、創建年代・由緒の一次史料は伝わらない。基本情報の多くは goutara-blog の現地踏査・古伝引用に依拠する。
  • 「黒高大明神」「向麻山=鴻山」の表記・呼称は goutara が引く古伝・地形図に基づく。
  • 天日鷲命の御陵(麻植塚)を斎く社とする位置づけは、近世地誌「麻植郡麻植塚村舊跡傳」と古老伝に基づく伝承であり、考古学的実証ではない(詳細・留保は 天日鷲命の御陵遥拝所)。
  • 本ノートの evidence_type は “shrine_origin”(社伝・地誌・古伝が典拠)、confidence は 3。

※本稿は天日桂神社の基本情報を扱う。御陵伝承・遥拝の構造の詳細は天日鷲命の御陵遥拝所に委ねる。