阿波国風土記 逸文
史料概観
- 成立: 和銅6年(713年)の風土記撰進詔に基づき作成
- 現状: 原本は散逸。後世史料(『万葉集註釈』『釈日本紀』『阿波志』など)に引用された逸文のみ現存
- 逸文の数: 阿波国風土記逸文として伝わるものは6〜10条程度
主要な逸文
1. 奈佐浦の伝承
「阿波国風土記に云く、奈佐浦と謂ふ所以は、その浦の波の音、寝(い)ねさせず…」
→ 鳴門市・奈佐浦の地名起源説話。波音が寝かせない故に「ナサ」と呼ばれたとする。
2. 天皇の后と阿波
古代天皇の后が阿波に関わる伝承(具体的記述は逸文の引用により断片的)。
3. 国名起源
阿波(粟)国の名は「粟」の生産に由来するとする説と、大宜都比売の「粟」神格に由来するとする説が並存。
4. 高越山(こうつざん)伝承
忌部の祖神・天日鷲命の鎮座する霊山としての高越山の記述。
阿波説における位置づけ
- 風土記が散逸している事実そのものが、阿波説では「中央権力による意図的な抹消」の論拠とされる。
- 逸文の断片からも、阿波が忌部系祭祀と海人族の交流拠点であった様子が窺える。
- 『阿波国風土記編輯雜纂』(江戸期)は逸文集成の試み。
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